Pan American /「描くべきか愛を交わすべきか(PEINDRE OU FAIRE L'AMOUR)」
BGM : Pan American「360 Business/360 Bypass」
- アーティスト: Pan American
- 出版社/メーカー: Kranky
- 発売日: 2000/02/14
- メディア: CD
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これも夜の音楽ですね。聴いたことはないのですが、ラブラドフォード(Labradford)というミニマル・アンビエント・バンドをやっているMark Nelsonのソロ・プロジェクト。やっぱりミニマルでまったりゆったり浮遊感たっぷりに漂ってきます。どこまでも隙間に向かう、といって、のぞき込んだら消えてしまいそうな、この感触は、暗い、とか、形容詞を持って言うよりも、音を聞く時間って、こういうものだよね、という、別にPan Americanだけのことではないのだけど、そういう時間を感じさせる音楽の一つとして、とても良質だと感じます。そのとき、良質という「質」は、やはり捉えさせないという一点につきるのかもしれません。
アルノー&ジャン=マリー・ラリユーというフランスの兄弟監督による新作、「描くべきか愛を交わすべきか(PEINDRE OU FAIRE L'AMOUR)」を見ました。「運命の作り方」というとても奇妙な恋愛映画を作った監督です。この監督については、日仏学院のHPを見るのが一番良いでしょう。彼らの初期の短編の上映予定なども書かれています。
この兄弟監督の描いているのは、布団の下の豆粒に、欲望が隠されている、といった話である気がします。平穏や安定に、ちょっとした余剰を加えると、そこに思いもがけない付加価値が生まれ、それこそ価値のあるものとなっていく。しかし、欲望のそうした弱さは、実は欲望の強さと隣り合っている気もしますので、弱い部分に立ち止まることで、欲望を考えるこの兄弟のやり方は、何かリアリティがあると共に、やはりとてもユニークだと感じるのでした。最終的には、欲望なんて大して意味がない、ってところに行きかねないのです。でも、それこそが大事でもある、というときに、魔が見えてくるのか、それともただ停滞しか見えないのか…。どちらも、退屈な光景の中に、張り付いているのかもしれませんね。