2005-01-01から1年間の記事一覧

キング・コング(2)

昨日の続きです。しかし他方で、調和の取れた愛の物語、キング・コングとアンとドリストルの三角関係の映画としても、この映画は成立しています。そこにおいて、むしろ映画は、完全な調和を帯びてコントロールされるともいえます。それは、どこか遠く、ヒッ…

キング・コング(1)

ピーター・ジャクソンの「キング・コング」が、2005年度の最後を飾る作品です。見たのは、実はかなり前なのですが、なんというか、やっぱりこれがとりかな、と。期待に違わない、傑作だったのです。 ピーター・ジャクソン監督「キング・コング」公式HP この…

女系家族

三隅研次監督の「女系家族」を、テレビで見ました。久しぶりに見直したのですが、やっぱりこれは傑作ですね。DVDも出ています。女系家族 [DVD]出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/07/29メディア: DVD購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (23件)…

ボブ・ディラン「ノー・ディレクション・ホーム」

BGM : 追憶のハイウェイ'61追憶のハイウェイ61アーティスト: ボブ・ディラン出版社/メーカー: Sony Music Direct発売日: 2005/08/24メディア: CD購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (53件) を見るマーティン・スコセッシが撮った、3時間半ものボ…

ディア・ウェンディ / ゾンビーズ

ラース・フォン・トリアーが脚本を書き、トリアーのドグマ95の仲間であり、ドグマ作品の第1作目「セレブレーション」の監督でもあるトマス・ヴィンターベアが監督した「ディア・ウェンディ」は、トリアーとヴィンターベアのアメリカ映画に対する複雑な感情…

秘密のかけら

アトム・エゴヤンの「秘密のかけら」を見ました。あまり得意な作家ではないのですが、面白く見られたのは、この映画のある種のいかがわしさが好きだからです。つまり、観客にどこかほんとうの姿を明かそうとしないところですね。 アトム・エゴヤン監督「秘密…

大掃除 / PET

映画化を切望するコミックがあるので、サンタクロースにお願いです(笑)とかいいながら、この日記も、ずっと後日に書かれています。ペット 1 (ビッグコミックス)作者: 三宅乱丈出版社/メーカー: 小学館発売日: 2003/01/30メディア: コミック購入: 2人 クリ…

ロード・オブ・ウォー

例によって、この日記は、実際に書かれた日付がでたらめなのですが、せっかく、クリスマス・イブですから、思い出し底部に見た映画について書きます。 アンドリュー・ニコル監督作「ロード・オブ・ウォー」公式HP 監督のアンドリュー・ニコルは、「ガタカ」…

ゲルマニウムの夜 / ニートとフリーター

最近、「ニート」「フリーター」といった言葉の用法が、政府によって、ゆがめられている、という話を聞きました。たとえば、「フリーター」ですが、Wikipediaから転載すると(フリーターでサーチしてください)、このように、内閣府・厚労省それぞれで規定さ…

ディック&ジェーン 復讐は最高!

私は見逃しているのですが、一部で評判の高かった「ギャラクシー・クエスト」のディーン・パリゾットが監督、ジム・キャリーが主演した「ディック&ジェーン 復讐は最高!」を見てきました。 ディーン・パリゾット監督「ディック&ジェーン 復讐は最高!」公…

男たちの大和(2)/ ALWAYS 三丁目の夕日(3)

おとといと昨日の続きです。ある種の閉ざされた政治/美意識が、支配的な状況を作る(映画における大ヒットだけが、そうした状況を作っているとは思いません。むしろそれは、一症候であるにすぎない)として、問題は、単純にであれ、それに抵抗する諸力が、…

ALWAYS 三丁目の夕日(2)

昨日の続きです。「ALWAYS 三丁目の夕日」では、映画の冒頭に、長回しのシーンがあります。CGを駆使して昭和33年、1958年当時の町並みを再現し、その中を子供たちが模型飛行機を追いかけて走り続け、細い下町の路地裏を抜けて、建造中の東京タワーの見える…

男たちの大和(1)/ ALWAYS 三丁目の夕日(1)

2005年度末、日本映画では、「男たちの大和」と「ALWAYS 三丁目の夕日」という(それぞれ異なる意味ではありますけれど)非常に贅沢なつくりのふたつの作品が、ともにヒットを記録しました。その贅沢さにはひとつの方向性があり、ヒットにつながった一定の法…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット

ハリー・ポッターシリーズ、すべて劇場で見ています。 「ハリー・ポッター」シリーズ公式HP マイク・ニューエルという監督の作品は、実は「ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー」だけしかみておらず、しかもそれすらまったく記憶に残っていないものですから…

Death Note

大場めぐみ・小畑健の「Death Note」9巻を購入しました。このコミックスは、ノートに名前を書いただけで、人の命を奪う力を得た、つまり全能的な力を手に入れた少年・ライトの物語です。当初私は、どのようにしてその全能感によって滅んでいくのか、という物…

MOONLIGHT MILE / BROTHER ALI

BGM : BROTHER ALI「SHADOWS ON THE SUN」Shadows of the Sunアーティスト: Brother Ali出版社/メーカー: Rhymesayers発売日: 2004/05/27メディア: CDこの商品を含むブログ (1件) を見る気合いだー、というかけ声は、私には今ひとつ響かないけれど、先天性色…

喫茶ロック エキスポ アンド ソフトロック編 / NANA

「NANA」の最新刊、14巻を読みました。NANA―ナナ― 14 (りぼんマスコットコミックス)作者: 矢沢あい出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/12/15メディア: ペーパーバック クリック: 12回この商品を含むブログ (250件) を見る欲望は、そこにある。しかし、どこ…

Individual Orchestra / タモリ倶楽部

田中フミヤの変名プロジェクト「Individual Orchestra」は、かなりの愛聴盤。私は、盛り上げられることとか、あまり好きではなく、とはいえ、盛り上がるときには果てしなく盛り上がるけれど、それはともかく、比べれば、クールさと、クールさに同居するざわ…

小沢健二 / アル・グリーン / クリスマス・ソング

そういえば、クリスマスがもうすぐです。不幸にも、キリスト教徒ではない私には関係のない日ですが、2つの意味で恩恵を受けてはいます。ひとつは、ケーキをたらふく食べて罪悪感を感じない日として重要であり、もう一つはクリスマス・ソングという素敵なジ…

THE CITY / SPRING / 日活ロマンポルノ

BGM : THE CITY「NOW THAT EVERYTHING'S BEEN SAID」Now That Everything's Been Saidアーティスト: City出版社/メーカー: Sony発売日: 1999/05/25メディア: CD クリック: 5回この商品を含むブログ (16件) を見るキャロル・キングがチャールズ・ラーキー、ダ…

THIS HEAT

映画をちょっと見ないだけで、話題が無くなるのはかなり深刻ですが、実際そうなのだから、仕方がありません。BGM : THIS HEAT「DECEIT」Deceitアーティスト: This Heat出版社/メーカー: These Records発売日: 1996/05/10メディア: CD クリック: 1回この商品…

構造計算偽装事件(4)/ POLE「3」

政府の被害者への支援策は、これはさすがにマスメディアも様々な形で指摘していますが、やはり首をひねるものがあります(関連記事)。政府としては、この問題の早期幕引きを図る上で、支援策を明確に打ち出すのが一番だったのではないか、一方で問題を「総…

構造計算偽装事件(3)/ ジェフ・ミルズ

BGM : Jeff Mills「Contact Special」コンタクト・スペシャルアーティスト: ジェフ・ミルズ出版社/メーカー: シスコ・インターナショナル発売日: 2005/10/05メディア: CD クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る今日は、実は12/15なので、昨日(14…

くるり「NIKKI」

生活のサイクルが変わって、ちょっと日記をさぼっておりました。映画も見ていないし、あまり書くことがないというのもありまして。それと、仕事やら何やらで、飲み会が続いているのも問題ですね。はぁ。17日からは、映画をけっこう見られるようになる(はず…

スネオヘアー / Mr.&Mrs.スミス

BGM : スネオヘアー「カナシミ」カナシミアーティスト: スネオヘアー,azumi,渡辺健二,箭内道彦,根岸孝旨,池田貴史,會田茂一出版社/メーカー: エピックレコードジャパン発売日: 2005/12/07メディア: CD クリック: 14回この商品を含むブログ (263件) を見る「…

Tortoise「Tortoise」/ サグァ / 完全な一日

BGM : Tortoise「Tortoise」Tortoiseアーティスト: Tortoise出版社/メーカー: Thrill Jockey発売日: 1995/05/23メディア: CD クリック: 2回この商品を含むブログ (12件) を見る Tortoise公式HP トータスのデビューアルバム。かなり偏愛してます。揺らぎと確…

中川信夫(2)

昨日の続きです。いきなりネタばれです!

構造計算偽装事件(2) / 中川信夫(1)

11/29の日記でも書いた構造計算偽装事件ですが、数日が過ぎ、建築・不動産業界に広がる闇の深さがいっそう明らかになってきました。この問題は、先日も書きましたけれど、官から民へ、民間にできることは民間に、という小泉与党のロジックがもつ危うさを端的…

チェン・ミン / 憂国呆談 / 情報統制

アメリカ軍がイラクにおいて、「多くの誤った情報が流れており、対抗する必要がある」とのことから、アメリカ軍の「功績」を金を払って新聞に掲載させた、という話は、アメリカがイラクに与えたと、アメリカの言う「解放」の性格を、典型的な笑い話として浮…

落ちる人

フレッド・ケレマンという映画監督のことは、ずっと気になっていました。何年か前の東京国際映画祭で、「フロスト」「アーベントランド」の2作が上映されたときには、所用からどうしても劇場に赴くことが出来ず、しかし後に評判を聞いて悔しい思いをしてい…