キングピン"ストライクへの道"

ファレリー兄弟の「キングピン"ストライクへの道"」をDVDで見ました。

キングピン~ストライクへの道~ [DVD]

キングピン~ストライクへの道~ [DVD]

父と地元の熱い期待を背負いプロボウラーになったウディ・ハレルソンは、若さゆえに卑劣なライバルのビル・マーレイに誘われるまま、自分がプロであることを隠した賭けボーリングに参加してしまい、身分がばれたハレルソンは、逃げ出したマーレイの代わりに攻撃を一身に受け、ボウラーの命である右手手首を失ってしまう。17年後、すっかりアル中に落ちぶれて(ついでにはげにもなって)しまったハレルソンは、ボーリングの才能のあるアーミッシュ(現代アメリカにありながら、文明の恩恵を享受しようとはせず、敬虔なキリスト教徒として小さなコミュニティを生きる人々)の青年ランディ・クエイドと出会い、コーチし、旅賃もないので途中賭けボーリングをしながら100万ドルの賞金かかった大会を目指します。

以下、ネタばれです。

旅の途中、マフィアのガールフレンド(ヴァネッサ・エンジェル)も加わり、奇妙な3人組は不思議な信頼で結ばれていく。しかし、大会前日、ハレルソンを侮辱したマーレイに激怒したクエイドが、殴りかかって手を負傷、急遽、ゴムの義手のハレルソンが大会に出ることになり…という話です。

ファレリー兄弟の映画だなぁ、と思うのは、アーミッシュの青年のコーチになったハレルソンが、コーチとして活躍するのではなく、最後には自らボウラーとして復活してしまうというところなのです。他のファレリー兄弟の映画、例えば「メリーに首ったけ」とか「愛しのローズマリー」「ふたりにクギづけ」を見ても、障害なり一種の病なりを抱えた人間が、それでくじけるのでも、その障害や病を治すのでもなく、その障害・病こそを堂々と生き、それを肯定し、続ける、というスタンスがきちんと見えてくるのです。

メリーに首ったけ [DVD]

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ふたりにクギづけ〈特別編〉 [DVD]

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そこにある、ファレリー兄弟の健康さが、私はとても好きです。安易に勝利させないことも含めて、ですね。ところで「ふたりにくぎづけ」は(そのエンディング・クレジット部分限定ですが)、昨年見た映画で、最も泣けて仕方が無かった映画ナンバー1といって過言ではないのでした。いやー、思い返しても泣けてくる(笑)。