SLAPP HAPPY / 菊地成孔

菊地成孔「南米のエリザベス・テイラー」を購入して聴きました。偽装的なエキゾチシズムに彩られた楽曲は、ここにいてよそを思う、という音楽による実践なわけですが、本気とユーモアの区別のつかないところまで行かなければ、それは昨日しない実践で(ただまねれば、ここがそこになるほど安易ではないはずで)、しかも自覚的にここ=異分子を孕みながら進まなければ、他方でいまのリアルさにも欠いていってしまう。そういうことだと思うのでした。しかも菊池成孔のテキストと選曲は、ハリウッドとブエノスアイレスとパリ、それから日本を、(憧憬や憎悪といった言葉で)象徴的な距離感を持たせつつ、隣接させ、重ね合わせもするのでした。その複雑さは、やはり素晴らしいですし、またエリザベス・テイラーという固有名詞の持つ単純な強さに賭けた点も、素晴らしいと思います。少し、韜晦するような語りになってしまっていますか?T2「京マチ子の夜」は、タイトルも含めて秀逸だと思います。T5「パリのエリザベス・テイラー(存在しない)」は、曲としても素晴らしいですが、その長いテキストも必読です。

南米のエリザベス・テーラー(DVD付)

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連想ゲームで、次のBGMはSLAPP HAPPYです。「サ・ヴァ」。ダグマー・クラウゼが歌っています。力の抜けた知性、けれど、鋭い切れ味。なんか、ビールのCMみたいな言い方ですけれど。

Ca Va

Ca Va