Autechre「Untitled」/ 犬猫

いしいひさいち4コマ漫画「ガンバレ!!タブチくん!!」のなかで、ヤスダ投手が魔球を投げようとするエピソードがいくつかあったのを記憶しています。その一つで、ヤスダ投手が、遂に本当に魔球を投げる、というのがあって、あまりに昔の記憶なので、あやふやなのですが、確か≪ものすごい変化をする本物の魔球にビックリした捕手が、ヤスダ投手に問いただすと、指が8本(だったと思うのですが、定かではありません)あってビックリし、魔球を投げるにはどうしても指が8本必要で手袋をしたというヤスダ投手に呆れる≫という展開だったと思います。この漫画の面白さは、8本指の手袋なんて、反則だろう?という部分ではなく、8本指なら本当に魔球が投げられてしまうでたらめさにあると感じます。8本指の手袋をしても実際には5本指なのだから、魔球を投げられるわけがない、というのは、いささか醒めた見方です。まずは8本指があったら、魔球が投げられるのではないか、と想像すること。そのイマジネーションに賭け、実際にそれをしてしまうことが大事なのです。
という話をつらつら書いているのは、オウテカを聴いているからです。オウテカの音楽は、踊れない音楽ではないのではないか、と感じているのです。8本足があったら、オウテカはばっちり踊れるのではないか。そんなふうに、身体以上の豊かさで、イマジネーションを通して脳が踊り出す感覚が、私はかなり好きです。

Untilted

Untilted

そうそう、井口奈己監督の「犬猫」が遂にDVD化されましたので、早速ゲットしました。この映画、とても好きです。上手く歯車が合わない。友情も恋愛も、その他もろもろも。でも、それが日常として淡々と進むともいえるわけです。がたぴししながらも不思議とバランス感覚をもってもいて、ちゃんとやっていける。とくに、子どものころから互いに知り抜いている幼なじみとかならなおのことで、性格はあわなくても、男を取り合った過去があったりしても、犬猫同居でやっていけたりするわけです。

犬猫 [DVD]

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