Andrey Kiritchenko「True Delusion」/ 電車男

ジャケ買い、というよりも正確には、ジャケでも買い、です。試聴もしていますから。音がまず気に入って、ジャケットもグッドだったので購入です。アンドレイ・キリチェンコ、と読むらしいです。ウクライナの人気DJであり、レーベルnexsoundの主催者だそうです。muslimgauzeなんかもリリースしているレーベルなのですね。知らなかった…。

アンビエント、と呼ぶべきなのかもしれませんが、アンビエントという定義が今ひとつわからないので、どうも苦手です。前半の4曲が、ミニマルでアコースティックなギターで、後半4曲はミニマルなピアノで、どちらもひずんだノイズに彩られ、エレクトロニカでもあり、町で録音してきたらしい生活音も混じっています。ドローン、という言葉も頭をよぎるのですが、今ひとつ定義がわからないので使えません。ともあれ、しみいる気持ちよさです。これを読みながら、今、途中までの「千々にくだけて」(リービ英雄)などを読むのは、かなり良いかもしれません。

ジャケでも買いなのに、はまぞうでヒットしないのは残念でした。替わりに、手元にあるmuslimgauze「Vampire of Tehran」を。

Vampire of Tehran

Vampire of Tehran

映画は「電車男」を見ました。

2ちゃんねる掲示板でのやりとりを、どのように表現するのだろうと楽しみにしていたのですが、複数の、それぞれ事情のある4組7人の2ちゃんねらーにフォーカスを絞ったところがうまくいっています。まったく別の場所にいる人間たちが、2ちゃんねる独自の交流のルールに従って、猛スピードで折り重なっていく。他人同士が、webを通じて隣り合う距離感の面白さですね。村上正典監督は、掲示板に書き込んでいる2ちゃんねらーの様子だけではなく、戦場のイメージ映像(電車男の純粋だからこそイヤミのないのろけ話に、「爆撃」されてしまう2ちゃんねらー3人組の、戦場で降参するイメージ映像とか)とか2ちゃんねる独自の言い回しを映像的に誇張したり、それぞれに痛みを抱えた現実の挿話を組み合わせたりしながら描いていきます。まったくバラバラの個々人の状況と、対比的に互いに面識のない人間たちであるにもかかわらず、一つの作業を、インターネットを通じてのみ成立させていく。…というところに、「電車男」という物語の良い部分が見いだせるのだと思います。これは、映画の前半部分のイメージですね。後半は、少しテイストが変わって、ガンバレ!鉄人!的になります。応援すれば元気になるという感じです(笑)。