ジャン=フランソワ・プリオ「大いなる休暇」

ジャンーフランソワ・プリオ監督の「大いなる休暇」を見ました。地場産業だった漁業が廃れ、島全体が生活保護を受けているカナダの片田舎の小さな島が、プラスチック工場の誘致を取り付けようとします。その条件が、医者の定住。しかし、何年も探し求めてきた医者が、突然島にやってきてくれるとは考えられません。そこで、カナダ中の医者に手紙を送り、島に1ヶ月の約束で来て貰おうとします。そしてその間に、島の魅力に取り憑かれて、島で住もうと言い出させよう、そう作戦を練った島民たちは、やっとやってきた医者の家に盗聴器をしかけたり、ルールも知らないクリケットが盛んに村に見せかけて、クリケット狂の医者の機嫌を取ったり、と、涙ぐましい努力で、島民総出で彼を引き留める大作戦を展開する…という話です。

いわゆる「いい話」ってやつですね。正直言って、話の展開は読めてしまうのですけれど、楽しく見ることが出来るのは、島民役の人々の風貌が、皆いい感じだからです。いい感じで無骨です。とはいえ、きれい事といえばそれまでです。フラハティを引き合いに出すのは違いますね。そうですね、たとえばピエトロ・ジェルミのような美しさにかなわない。生活保護を受けていれば、生きていける、という時点で、いくらかは豊かなのかもしれません。だからまだきれい事になるのかもしれませんね。スト破りなんてしなくていい。現実味なく、楽しめるように出来ている、という感じです。

ピエトロ・ジェルミの「鉄道員」、私は見ると、泣いてしまうのでした。あのラストが、とても苦手です。

鉄道員 [DVD]

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