2005年7月24日ロンドン同時多発テロ記事・補足

例によってでたらめな日付で日記を書いています。この日記は7/24の日記に対する補足なのですが、日付は7/24でも実は7/22に書かれたものだったりします。いま、この補足を書いているのが、まさしく2005/07/24の午後1時なのですが、日記の日付は7/26になっています。日付なんて、どうでもイイと思って日記を始めたのですが、時事問題について書くには不適な判断でした(笑)。当たり前ですよね…。

報道によると、射殺された人物はテロと無関係であることが判明したそうです。asahi.com「ロンドン同時多発テロ記事特集」で経緯を見てみると、まず22日の時点ではこのように報道されました。

ロンドン南部の地下鉄ストックウェル駅で22日午前10時(日本時間午後6時)すぎ、男性1人を私服警察官が射殺したと、ロンドン警視庁が明らかにした。英メディアは、この男が前日のロンドンでの同時テロ事件の容疑者の1人だと報じている。英BBC放送によると、警察当局が監視カメラの調査結果に基づき尾行していたという。
目撃者によると、地下鉄車内で警察官が男に向けて至近距離で計5発を発砲した。男は南アジア系とみられ、野球帽と季節はずれの厚手のコートを着ており、武器らしきものは手にしていなかったという。英スカイニュースは、捜査当局が男を自宅から尾行しており、当初は逮捕する予定だった、と報じた。(後略)

それが本日(24日)の報道では、このようになりました。

ロンドンのテロ事件を捜査しているロンドン警視庁は23日、「22日に警察当局が地下鉄ストックウェル駅で射殺した男性は、21日の爆破事件とは関係がない。遺憾である」との声明を発表した。
声明で「身元を確認したところ、爆破事件に関与していない人物であることが判明した。そのような状況で命を失ったことは悲劇で、ロンドン警視庁は遺憾に思う」とした。射殺に至った経緯については独立した内部調査委員会に委ねるという。
この男性は22日午前10時すぎ、同時テロ事件の現場に近いロンドン南部の地下鉄ストックウェル駅で警察官の制止を振り切って車内に乗り込んだが、追った警察官が至近距離で計5発を発砲し、その場で死亡した。
警察当局が監視していたアパートから、この男性が出てきたため尾行したという。
まだ男性の身元は明かされていないが、テロ事件の捜査にとって打撃になると共に、イスラム系社会からの強い批判が予想される。
同警視庁のブレア総監は22日の記者会見で「男性が警察官の指示に従わなかったため発砲した」と説明していた。

英警察当局は23日、ロンドン南部の地下鉄駅でテロ事件を捜査していた私服警官によって射殺された男性の身元について、「27歳のブラジル人男性」であることを明らかにした。英警察は、この男性が21日にロンドンで起きた同時テロ事件とは無関係で、警官が誤って射殺した可能性が高いことを認めていた。ロイター通信などが伝えた。
また、ブラジルの地元テレビ局は23日、射殺されたブラジル人男性について、「ジーン・チャールズ・デメネゼス氏」であると報道した。デメネゼス氏の関係者が遺体を確認した。同氏は3年前から英国に合法的に居住し、電気工事関連の仕事をしていた。22日、出勤途中に警官の追跡を受け射殺されたという。
この誤射事件に関連し、ブラジル外務省は23日、「ブラジル市民が悲しむべき間違いの犠牲となったことに衝撃を受けている」とする声明を発表し、英政府に対して誤射の経緯を説明するよう要求した。

「当初から逮捕予定の容疑者」から、実はブラジル人だったという、振れ幅の大きい情報が、マスメディアにのって流れてきているわけです。毎日新聞の報道では≪英スカイニューズ・テレビは、「警察当局がテロ実行犯と関係ある人物の住所が間違えていた可能性がある」と指摘している。≫という記事もありましたが、こうした報道一つ一つに踊らされてはいけないのかもしれないですね。

そんななか、エジプトの保養地でも同時多発爆弾テロが発生、23日未明の時点で、死者88人、負傷者200人となってしまっています。死んだ人間の数は、おそらくは間違いのない報道ですよね。そこだけが、真実である。そして、その数字は、各地でどんどん増えていくわけです。

他方、イラクでも死者は増加し続けています。7/21のYOMIURI ONLINEによると、イラク戦争以後、イラクでの民間人の死者は25000人とあります。以下が、記事全文です。

英米の学者や平和活動家らで作る非政府組織(NGO)「イラク・ボディー・カウント」は20日までに、イラク戦争が始まった2003年3月から2年間の間に、米英軍や旧イラク国軍、反米勢力の軍事行動に巻き込まれたり、戦時の犯罪などに関係して死亡した民間人は2万4865人に上ったとの集計結果を発表した。
集計は、英米イラクなどでの報道1万件以上を精査してまとめられた。
それによると、米軍主導の連合軍の攻撃に巻き込まれて犠牲となったのは37・3%。旧イラク国軍、反米勢力によるものは9・5%。戦時の略奪など犯罪がらみも全体の35・9%に上った。自爆テロによる死者は、イラク保健省の調べに基づき、全体の1・3%の318人としている。

なお、IRAQ BODY COUNTの公式HPはこちらです。

7/13 Yahoo!News/ロイターでは、死者39000人と膨らみます。

スイスのジュネーブ高等国際問題研究所は11日、2003年3月のイラク戦争開始以来、戦闘などで死亡したイラク人は、これまでの推定を大幅に上回る約3万9000人とする報告を発表した。
一方、米英の市民団体がイラクの民間人の死者を集計している「イラクボディーカウント」によると、死者は2万2787ー2万5814人と推定されている。このデータは、少なくとも2つのメディアを情報源としている。
米国主導の多国籍軍の死者数(現時点で1937人)は集計されている一方、イラク戦争に伴うイラク人死者数は公式発表されていない。

(記事にもあるように、アメリカは多国籍軍の死者をカウントする一方で、イラク人死者数の公式発表はしていないのです。)
2004/10/30のしんぶん赤旗では、死者は10万以上とありました。

ロンドンで編集されている医学専門雑誌『ランセット』(電子版)は二十九日、イラク戦争・占領によるイラク人の死者は十万人を超えたと推計する論文を発表しました。米ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大の現地調査に基づくものです。
科学的調査に基づく同論文によると、二〇〇三年の米英軍による侵略以降、侵略・占領を原因とする死者は控えめに見ても十万人に達すると結論。「暴力が死亡の原因であり、なかでも空爆が暴力によるほとんどの死亡の原因を占める」と指摘しました。犠牲者の大半は女性や子どもでした。
なかでも深刻な地域は、米軍が街を包囲し無差別の攻撃を行ったイラク中部のファルージャで、暴力による死亡の三分の二を占めるといいます。
これまでは非政府組織(NGO)「イラク・ボディー・カウント」が、メディアの報道などから市民の死者数を約一万六千人と推計してきました。今回の発表はこれをはるかに上回ります。
レス・ロバール教授らによる同論文は、イラクの主要三十三地域のそれぞれ三十三世帯について聞き取り調査を行い、イラク侵略以後の十七・八カ月の死亡者数と死因を侵略以前の十四・六カ月と比較。その結果、イラク国民の死亡率は開戦前の二・五倍になったといいます。
侵略以前のイラク国民の死因は、心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞などでしたが、侵略後、暴力が第一の死亡原因となったと指摘しています。
同誌の編集者、リチャード・ホートン氏は「論文の内容は先制攻撃に責任を負う政府に対し、多くの疑問を提示している」「イラク戦争は国民に平和と安定をもたらすには不十分だ。民主的帝国主義はより多くの死者をもたらした」と批判しています。

こうして3つの資料を並べて見たのは、どれが正しいという検証のためではなく、おそらく本当の数字はわからないだろうと言うことなのです。IRAQ BODY COUNTも、HPでは最小数と最大数という表記になっており、現在最小と最大の間には3000の差があるわけです。それは単なる数字ではなくて、命の数であるのですね。