Chicago Underground Duo「Axis And Alignment」 / シン・シティ

BGM : Chicago Underground Duo「Axis And Alignment」

Axis and Alignment

Axis and Alignment

シカゴ・アンダーグラウンド・デュオの、音のひずませ方がとても好きです。私のCD棚だとTown and Countryと同じ場所に並べておいてあるCDなんですけれど、改めて聴いてみると、自分の好みの統一性みたいなものを感じます。彼らのアルバムは2枚しか手元にないのですが、やはりちゃんと揃えておきたいなぁ。一聴して、すーっと流れていくジャズのようでいて、曲も、音も、ほどこされたエレクトロ的な処理も、皆、歪みとして刺激的に作用しているのでした。気持ちいい。お気に入りです。

ロバート・ロドリゲスフランク・ミラー監督「シン・シティ」を見てきました。一部、クェンティン・タランティーノも特別監督していて、見ながらどこだろうと想像していたのですが、鑑賞後チラシで確認したところ、なるほど、タランティーノらしいまったりしたシーンでした。

以下、ネタばれです。

死体になったベネシオ・デル・トロとクライヴ・オーウェンがまったりドライブしているシーンですね。結構好きなシーンです。正義も、真っ当な復讐も、真っ当でない復讐も、カニバリズムも権力欲も、殺人も、すべてまとめて強い欲望であり、それを実行することを抑止されないからこその「シン・シティ」だといえます。欲望を十全に可能にするために悪人がいる、と言えるほどです。その証拠に、誰一人として、この町を出て行こうというものはいないのでした。何故なら、望めばそこにすべてある世界だからです。ジョシュ・ハートネットが言うように。

そう考えると、正しい動機で動く側も、そうでない動機で動く側も、よく殺すし、よく殴るし、すること自体にはあまり変わりはありません。ビジュアルも似たり寄ったりです(ただ、誰もがギミックを施された世界で、イライジャ・ウッドだけが、生来ギミックをかけられていますと言わんがごとく、そのまんまなのも、ちょっと好きです)。

その、よく似た人々による、よく似た出来事の繰り返しのバリエーションが、徹底的に閉じられた世界でなされる、そこにしかし、映画の本質の一部が(まったく後ろ向きであったにしても)見出されるかもしれない、と思います。何かの物語と結びつきながら、それが保守性となってしまうのでない限り、つまりそこで何一つ何かを生産しようとはせず、ただ繰り返そうとする限りにおいて、初めて魅力的な映画になる、「シン・シティ」はそんな映画だと思うのでした。

ミッキー・ロークが、キャラクターとしては一番お気に入りです。車に引かれまくって、撃たれても平気なところとか。あとはロークと敵対するイライジャ・ウッド。よく跳ねますし。あれは、指輪にのろわれてしまったのね。殺人マシーン・ミホを演じたデヴォン・青木も良いです。死体になったあとのベネシオ・デル・トロ、エロティックなのに純情純粋無比な少女ジェシカ・アルバも良いですね。