Charles Mingus / スター・ウォーズ

BGM : Charles Mingus「Pithecanthropus Erectus」

直立猿人

直立猿人

そんなわけでチャールズ・ミンガスの「直立猿人」です。我が家にあったジャズCDシリーズの第何弾か忘れましたが(笑)。実は、このアルバム、昔買って聴いたときには、まったく理解できず放置してきたのですが、こうして改めて聴くと、やっぱり良いので困ったものです。一番信用がおけないのが、自分です。たとえばT2の「A Foggy Day」ですが、昔は、気持ち良いメロディの流れの中に突然ぷーぷーと、切断するような、よくわからない音が混じり始めてしまったり、リズムが転調してしまうこととかに苛立っていたのだろうと思います。しかし、いま聴けば、そうした部分にこそ脳に突き刺さる部分が生まれるわけです。うーん、進化だ(笑)。

進化、といえば、「スター・ウォーズ エピソード3 シスの逆襲」を先々行オールナイトで見てきました。

1000人も入る劇場が満員御礼の盛況ぶりで、客の一人にダース・ベイダーの扮装をした方がいて、上映の直前までライトセーバー(のおもちゃ)を突き上げてはしゃいでいたのが印象的でした。「スター・ウォーズ」シリーズの最新3作は、旧3作とは隔世の感のある技術を有しながら、同時にライトセーバーやR2D2といったモチーフは変わらず(変えるわけにも行かず)、進化とノスタルジー(というと不適かもしれませんが)が入り交じった、しかしだからこそ、旧来からのマニアの心をがっちりとつかんで話さない映画なのだと思います。そういえば、周囲の客の行儀の良さにもビックリでした。予告編の間はずっとがやがや話していたのが、上映中は一言もしゃべり声が聞こえず、ものを食べる客もおらず、時折手洗いに立つ客がいるほかは、皆食い入るように画面を見続けていた(と想像する)のです。客層は、夜遅い上映だったにも関わらず全般に高めで、40代の方が相当いらっしゃったように感じました。もちろん20代のカップルもたくさんいたのですが、普段、同じ映画館で、やはり遅い時間の上映を見慣れている身としては、かなり違和感がありました。

そして、何よりもすごかったのは拍手ですね。映画がはじまったとたんに満場の拍手、タイトルが出たら拍手、ルーカスの名前で拍手、そして映画が終わって更に暑い拍手。ああ、お祭りなのだなぁと、しみじみ思いました。映画も、6本のスター・ウォーズシリーズの終わりにふさわしい、見所盛りだくさんで、しかも、エピソード4への接続も非常に巧みに為されていて(その最たるものがダース・ベーダー誕生に至る部分であり、新3部作は、その一点に向けて進んでいたとすら言えるわけですが)多くのスター・ウォーズファンの納得を勝ち取ったのではないか、と想像します。単にブランドや宗教であることにあぐらをかくのではなく、手間暇を徹底的に掛け、細部までこだわり抜いて期待に応えてみせるところは、さすが!と思います。

以下、ネタばれです(ここまでは、誰もが知っていることなのでよいですよね?)。

やはり、ユアン・マクレガー演じるオビ=ワン・ケノービが最後の最後に主人公らしく大活躍をします。ああ、本当は強いんだ、と感心したり(笑)。でも、微妙にドジな感じは、最後まで大事に保たれています。ライトセーバーを落としてしまって、結局ドロイドの親玉を倒すシーンでは銃を使ったりとか、どこか冴えなかったり。乗り回す巨大なイグアナみたいな奴も可愛かったですが、これは役者の魅力とは関係なく可愛いです。そしてヘイデン・クリステンセンとの対決シーンですね。クライマックスにふさわしい盛り上げ方をしてくれます。どことなく、「三匹が斬る」TV版の役所広司を思い起こさせる動きも多かったですね。

ヨーダは前作に引き続き、素晴らしいアクションを披露してくれます。ナタリー・ポートマンもおしゃれで可愛くて、言うことありません。死に顔まで含めて、これだけ美しければ誰もが納得(?)というか。

なにより、ダース・ベーダーが完成してスーハーするのを見た瞬間とか、達成感が大きいのです。やはり拍手拍手で幕を閉じるのが正しい見方なのかもしれませんね。といいつつも、私は拍手しなかったのですけれど(笑)。