ALWAYS 三丁目の夕日(2)

昨日の続きです。「ALWAYS 三丁目の夕日」では、映画の冒頭に、長回しのシーンがあります。CGを駆使して昭和33年、1958年当時の町並みを再現し、その中を子供たちが模型飛行機を追いかけて走り続け、細い下町の路地裏を抜けて、建造中の東京タワーの見える…

男たちの大和(1)/ ALWAYS 三丁目の夕日(1)

2005年度末、日本映画では、「男たちの大和」と「ALWAYS 三丁目の夕日」という(それぞれ異なる意味ではありますけれど)非常に贅沢なつくりのふたつの作品が、ともにヒットを記録しました。その贅沢さにはひとつの方向性があり、ヒットにつながった一定の法…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット

ハリー・ポッターシリーズ、すべて劇場で見ています。 「ハリー・ポッター」シリーズ公式HP マイク・ニューエルという監督の作品は、実は「ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー」だけしかみておらず、しかもそれすらまったく記憶に残っていないものですから…

Death Note

大場めぐみ・小畑健の「Death Note」9巻を購入しました。このコミックスは、ノートに名前を書いただけで、人の命を奪う力を得た、つまり全能的な力を手に入れた少年・ライトの物語です。当初私は、どのようにしてその全能感によって滅んでいくのか、という物…

MOONLIGHT MILE / BROTHER ALI

BGM : BROTHER ALI「SHADOWS ON THE SUN」Shadows of the Sunアーティスト: Brother Ali出版社/メーカー: Rhymesayers発売日: 2004/05/27メディア: CDこの商品を含むブログ (1件) を見る気合いだー、というかけ声は、私には今ひとつ響かないけれど、先天性色…

喫茶ロック エキスポ アンド ソフトロック編 / NANA

「NANA」の最新刊、14巻を読みました。NANA―ナナ― 14 (りぼんマスコットコミックス)作者: 矢沢あい出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/12/15メディア: ペーパーバック クリック: 12回この商品を含むブログ (250件) を見る欲望は、そこにある。しかし、どこ…

Individual Orchestra / タモリ倶楽部

田中フミヤの変名プロジェクト「Individual Orchestra」は、かなりの愛聴盤。私は、盛り上げられることとか、あまり好きではなく、とはいえ、盛り上がるときには果てしなく盛り上がるけれど、それはともかく、比べれば、クールさと、クールさに同居するざわ…

小沢健二 / アル・グリーン / クリスマス・ソング

そういえば、クリスマスがもうすぐです。不幸にも、キリスト教徒ではない私には関係のない日ですが、2つの意味で恩恵を受けてはいます。ひとつは、ケーキをたらふく食べて罪悪感を感じない日として重要であり、もう一つはクリスマス・ソングという素敵なジ…

THE CITY / SPRING / 日活ロマンポルノ

BGM : THE CITY「NOW THAT EVERYTHING'S BEEN SAID」Now That Everything's Been Saidアーティスト: City出版社/メーカー: Sony発売日: 1999/05/25メディア: CD クリック: 5回この商品を含むブログ (16件) を見るキャロル・キングがチャールズ・ラーキー、ダ…

THIS HEAT

映画をちょっと見ないだけで、話題が無くなるのはかなり深刻ですが、実際そうなのだから、仕方がありません。BGM : THIS HEAT「DECEIT」Deceitアーティスト: This Heat出版社/メーカー: These Records発売日: 1996/05/10メディア: CD クリック: 1回この商品…

構造計算偽装事件(4)/ POLE「3」

政府の被害者への支援策は、これはさすがにマスメディアも様々な形で指摘していますが、やはり首をひねるものがあります(関連記事)。政府としては、この問題の早期幕引きを図る上で、支援策を明確に打ち出すのが一番だったのではないか、一方で問題を「総…

構造計算偽装事件(3)/ ジェフ・ミルズ

BGM : Jeff Mills「Contact Special」コンタクト・スペシャルアーティスト: ジェフ・ミルズ出版社/メーカー: シスコ・インターナショナル発売日: 2005/10/05メディア: CD クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る今日は、実は12/15なので、昨日(14…

くるり「NIKKI」

生活のサイクルが変わって、ちょっと日記をさぼっておりました。映画も見ていないし、あまり書くことがないというのもありまして。それと、仕事やら何やらで、飲み会が続いているのも問題ですね。はぁ。17日からは、映画をけっこう見られるようになる(はず…

スネオヘアー / Mr.&Mrs.スミス

BGM : スネオヘアー「カナシミ」カナシミアーティスト: スネオヘアー,azumi,渡辺健二,箭内道彦,根岸孝旨,池田貴史,會田茂一出版社/メーカー: エピックレコードジャパン発売日: 2005/12/07メディア: CD クリック: 14回この商品を含むブログ (263件) を見る「…

Tortoise「Tortoise」/ サグァ / 完全な一日

BGM : Tortoise「Tortoise」Tortoiseアーティスト: Tortoise出版社/メーカー: Thrill Jockey発売日: 1995/05/23メディア: CD クリック: 2回この商品を含むブログ (12件) を見る Tortoise公式HP トータスのデビューアルバム。かなり偏愛してます。揺らぎと確…

中川信夫(2)

昨日の続きです。いきなりネタばれです!

構造計算偽装事件(2) / 中川信夫(1)

11/29の日記でも書いた構造計算偽装事件ですが、数日が過ぎ、建築・不動産業界に広がる闇の深さがいっそう明らかになってきました。この問題は、先日も書きましたけれど、官から民へ、民間にできることは民間に、という小泉与党のロジックがもつ危うさを端的…

チェン・ミン / 憂国呆談 / 情報統制

アメリカ軍がイラクにおいて、「多くの誤った情報が流れており、対抗する必要がある」とのことから、アメリカ軍の「功績」を金を払って新聞に掲載させた、という話は、アメリカがイラクに与えたと、アメリカの言う「解放」の性格を、典型的な笑い話として浮…

落ちる人

フレッド・ケレマンという映画監督のことは、ずっと気になっていました。何年か前の東京国際映画祭で、「フロスト」「アーベントランド」の2作が上映されたときには、所用からどうしても劇場に赴くことが出来ず、しかし後に評判を聞いて悔しい思いをしてい…

ブッシュよ好きなようにはさせない / マジシャンズ

11/28のブログで書いた大洋レコードシリーズ第4弾。今日は「A Bush No Le Va A Gustar」というアルバムです。ブッシュ・ジュニアの南米訪問にあわせてリリースされたコンピレーションで、タイトルは「ブッシュよ好きなようにはさせない」と邦訳できるそうで…

ダグラス・サーク / スイス映画 / rosal

BGM : rosal「エデゥカシオン・センティメンタル」11/28のブログで書いた大洋レコードシリーズ第3弾。アルゼンチンのガールズポップ音響バンド。かわいいし、おしゃれです。世界中にこうした音楽があるということの発見(共鳴)の喜び。こういう音楽は日本…

La Carrau / 構造計算偽装事件 / フリーゾーン

BGMは、昨日のブログで書いた大洋レコードシリーズ第2弾で、La Carrauの「Qin Bori Bori」を聴いています。2ndアルバムとのこと。ガールズ・ポップ・無国籍(あるいはミックス)・トラッド・ミュージックって感じでしょうか。世界のあっちこっちミュージッ…

大洋レコード / Seis Luces / アボリファズル・ジャリリ

先日、神楽坂をうろうろしていて「大洋レコード」という輸入CDショップを発見しました。 「大洋レコード」公式HP ブラジル、アルゼンチン、フランス、スペインからの輸入CD店、とのこと。その他に、なぜかラジオキットと能面も販売しています。店内にはいる…

セックスと哲学

モフセン・マフマルバフという映画監督は、とても奇妙な監督で、過去に見たことがある作品を思い返しても、自意識と美意識と政治の狭間で、おかしなことになってしまったこと、それ自体と取り組むような混乱が見いだせるように思うのでした。アッバス・キア…

焼けた劇場の芸術家たち / MOONDOG

MOONDOGをBGMにすること。1956年のNYでの録音です。オリエンタリズム、というにしては、どこかすかすかな、単なる素材となったアメリカ外部の音が、反復され、リズムを構築する。素材化しうる、つまり、その知性の働きにおいて、MOONDOGの音楽は、オリエンタ…

アヒルを背負った少年

考えてみると、今年のFILMeXのコンペ部門には「アヒルを背負った少年」のイン・リャン監督(77年生まれ28歳)と「サグァ」のカン・イグァン監督の2人、初監督作品がピックアップされているのでした。ここで単純に驚かれるのは、その2作がともに(まだ荒削…

石井輝男(3)

石井輝男における吉田輝雄が、無力なる中心としてあり、無力だからこそそこで起こる残酷な出来事を止めようがないまま、その周囲にエロティックで加虐趣味に彩られた女性の肉体を無数に引き寄せる、と整理しましたが、逆を言えば、男性的な中核として高倉健…

石井輝男(2)

少し前のことになってしまいましたが、石井輝男について第2弾。FILMeXの中川信夫のことを書く前に、と思いまして。あ、今回の特集では、楽しみにしていた「ポルノ時代劇 亡八武士道」と「残酷・異常・虐待物語 元禄女系図」は、諸事情で見逃してしまいまし…

FILMeX / サウンド・バリア

第6回東京FILMeXがスタートしています。まあ、このブログをわざわざ見つけて読んでくださるような皆様には、言わずもがなのこととは思いますが、この映画祭は、とてもとてもレベルが高い。日本とアジアの映画作家を中心に、作家主義を貫いて作品を紹介し続…

TAKESHIS'

北野武監督の最新作「TAKESHIS'」を見ました。 北野武「TAKESHIS'」公式HP 映画の中で、銃撃があり、人が死ぬシーン。銃を手に持った人間がいて、空砲が撃たれ、ついで撃たれた側の俳優の弾着が破裂し、血糊が服を染め、死んだことになるわけです。銃弾は目…